「健康経営に取り組みたいけれど、そこまで予算をかけられない」——中小企業の経営者の方とお話ししていて、いちばん多くいただくご相談です。

実は、従業員の健康づくりに使える公的な支援制度はいくつもあります。ただ、制度が分散していて名前も似ているため、知らないまま自費で進めてしまっている企業が多いのが実情です。この記事では、宮城県の中小企業が現実的に使える3つの支援制度を、2026年8月時点の情報で整理します。

① エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)

高年齢労働者が安全に働ける職場づくりに取り組む中小企業を支援する補助金です。運動指導や身体機能の測定にも使えるため、健康経営との相性がもっとも良い制度といえます。

令和8年度はコース構成が変わりました

これまであった「高年齢労働者の労働災害防止対策コース」「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」は、令和8年度から「専門家総合対策コース」に統合されました。旧2コースの内容は、この新コースの第2段階に組み込まれています。また、熱中症対策が独立したコースになりました。

  • 補助率:取組内容に応じて1/2、3/4、4/5
  • 上限額:専門家総合対策コース・熱中症対策コース 各100万円、コラボヘルスコース 30万円(いずれも税抜)
  • 申請受付:令和8年5月20日〜10月31日
  • 専門家を活用したリスクアセスメント:令和8年8月31日締切

ここで必ず押さえておきたいのが、予算上限に達すると受付が早期終了するという点です。締切日まで余裕があるように見えても、実際には途中で締め切られる可能性があります。

② 団体経由産業保健活動推進助成金

事業主団体や労働保険事務組合が、傘下の中小企業のために産業保健サービスを提供する場合に使える助成金です。個社ではなく団体が申請主体になる点が特徴で、業界団体や商工会に加入している企業であれば、団体経由で恩恵を受けられる可能性があります。

  • 助成率:90%
  • 上限額:500万円(一定の要件を満たす団体は1,000万円)
  • 令和8年度の受付状況:令和8年7月10日に予算上限到達により交付申請受付を終了

助成率90%という条件の良さもあって、毎年早い段階で予算に達する傾向があります。令和9年度に利用を検討する場合は、年度が明けたらすぐ動けるよう、団体側と事前に話をつけておくのが現実的です。

③ 地域産業保健センター(費用ゼロで使える公的支援)

3つ目は補助金ではありませんが、労働者数50人未満の事業場が無料で利用できる公的支援です。宮城県内にも各地域にセンターが設置されています。

医師や保健師による健康相談、長時間労働者への面接指導、健康診断結果についての意見聴取などを、費用負担なしで受けられます。産業医を選任する義務のない規模の会社にとっては、まず最初に検討すべき選択肢です。

2028年4月にはストレスチェックが50人未満の事業場にも義務化されます。実施者の確保という課題にも関わってくるため、いまのうちに窓口とつながっておく価値は大きいと考えます。詳しくは「ストレスチェックが50人未満の事業場にも義務化|2028年4月に向けて中小企業が今からできる準備」をご覧ください。

補助金を「使えるかどうか」の前に決めておくこと

ここまで3つの制度を紹介しましたが、実務でつまずくのはたいてい制度そのものではなく、準備の順番です。

  1. 何を解決したいのかを先に決める:腰痛による休業を減らしたいのか、離職率を下げたいのか。目的が曖昧なまま補助金ありきで動くと、要件に合わせて中身を歪めることになります。
  2. 年度の早い時期に動く:多くの制度が予算到達で早期終了します。4〜6月に情報を取りにいくのが理想です。
  3. 社会保険労務士に相談する:申請書類の要件判断は専門性が高い領域です。顧問社労士がいるなら、まず相談してみてください。
  4. 補助金が取れなくても実行できる規模から始める:補助金は「あれば加速する」もので、前提にすると計画が止まります。

健康経営優良法人の認定とあわせて設計する

補助金を使って実施した取り組みは、そのまま健康経営優良法人の申請材料になります。宮城県の中小規模法人部門の認定数は2020年の90社から2026年には679社へと大きく伸びており、地域内での認知度も年々上がっています。

補助金の申請、労働災害対策、健康経営の認定取得。これらを別々のプロジェクトとして走らせると、担当者の負担ばかりが増えます。ひとつの取り組みを3つの目的に使う——この発想で設計すると、中小企業でも十分に回せます。

まとめ

  • エイジフレンドリー補助金は令和8年度から「専門家総合対策コース」に統合。受付は10月31日まで(予算到達で早期終了あり)
  • 団体経由産業保健活動推進助成金は助成率90%だが、令和8年度分は7月10日に受付終了
  • 50人未満の事業場は、地域産業保健センターを無料で使える
  • 補助金ありきではなく、解決したい課題を先に決める
  • 実施した取り組みは健康経営優良法人の申請材料としても活きる

株式会社ナイスハビットでは、宮城県内の中小企業さま向けに、身体機能の測定と運動指導を軸にした健康経営支援「フィジカルポテンシャルプログラム(PPP)」をご提供しています。何から始めればよいか整理したい段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。


参考:厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」令和8年度公募要領/独立行政法人労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金」/厚生労働省「地域産業保健センター」/経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人認定制度」

ご注意:本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。補助金・助成金の要件、金額、受付期間は年度ごとに変更され、予算到達により早期終了する場合があります。実際の申請にあたっては必ず各制度の最新の公募要領をご確認のうえ、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。当社は社会保険労務士事務所ではなく、申請代行や個別の要件判断は行っておりません。