「ストレスチェックはうちみたいな小さい会社には関係ない」——これまではそうでした。しかし2028年4月から、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務づけられます。宮城県内の中小企業の多くが、この対象に入ります。

この記事では、宮城・仙台エリアの中小企業の経営者・人事担当者の方に向けて、何がどう変わるのか、そして義務化までの残り期間で何を準備しておけばよいのかを、理学療法士・健康経営アドバイザーの立場から整理します。

ストレスチェックの50人未満義務化とは:何がどう変わるのか

ストレスチェック制度は2015年12月に始まりましたが、これまで実施が義務だったのは常時使用する労働者が50人以上の事業場のみで、50人未満は「努力義務」にとどまっていました。

2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、この50人未満の事業場についてもストレスチェックの実施が義務化されることが決まりました。施行日は2028年4月1日とされています(2026年5月18日の労働政策審議会 安全衛生分科会で示されたスケジュール)。

「事業場」単位である点に注意

ここでいう50人は「会社全体」ではなく事業場(事業所)単位で数えます。本社40人・工場30人という会社は、これまでどちらの事業場も義務の対象外でしたが、2028年4月以降は両方が対象になります。複数拠点を持つ企業ほど、影響範囲が広がります。

実施率のギャップ:50人未満はまだ3割

厚生労働省の調査では、ストレスチェックの実施率は事業場規模50人以上で84.7%に達している一方、50人未満では32.3%にとどまっています。つまり、50人未満の事業場の約3分の2が、2028年4月までにゼロから体制をつくる必要があるということです。

「まだ2年ある」と感じるかもしれませんが、実施者の確保や社内ルールづくりを考えると、決して余裕のあるスケジュールではありません。

中小企業がつまずきやすい3つのポイント

1. 実施者を誰にするか

ストレスチェックの「実施者」になれるのは、医師・保健師のほか、所定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。産業医を選任していない50人未満の事業場では、まず誰に依頼するかが最初のハードルになります。地域産業保健センターや外部委託サービスの活用が現実的な選択肢です。

2. 結果の取り扱いルールが決まっていない

ストレスチェックの結果は、本人の同意がない限り事業者が見ることはできません。小規模な会社ほど「誰が見るのか」が曖昧になりやすく、従業員が正直に答えられないという問題が起きます。誰が結果を保管し、誰がアクセスできるのかを、実施前に文書で決めておくことが欠かせません。

3. 「やって終わり」になってしまう

最も多いのがこのパターンです。ストレスチェックの本来の目的は、集団分析を通じて職場環境そのものを改善すること。実施しただけで職場が変わらなければ、翌年以降は形骸化し、従業員の回答意欲も下がっていきます。

2028年4月に向けて、いまからできる4つの準備

  1. 対象となる事業場を洗い出す:拠点ごとの人数(パート・アルバイトを含む常時使用する労働者)を確認します。
  2. 実施者の当てをつけておく:地域産業保健センター、産業医、外部委託サービスなど。義務化直前は依頼が集中することが予想されます。
  3. 義務化を待たず、試験的に実施してみる:努力義務の段階で一度回してみると、運用上の課題が具体的に見えます。
  4. 職場改善の受け皿を用意する:結果が出たあとに何をするのかを、あらかじめ決めておきます。

メンタルヘルス対策は「心」だけの問題ではない

ここが、理学療法士として現場を見てきた私が最もお伝えしたい点です。

ストレスチェックの結果に「疲労感」「身体愁訴」として現れる不調の中には、慢性的な腰痛・肩こり・睡眠の質の低下といった身体的な要因が絡んでいるケースが少なくありません。腰が痛い状態で毎日8時間働けば、当然メンタルにも影響します。逆に、身体の不調が軽くなると、それだけで職場のストレス評価が改善することもあります。

ストレスチェックで課題が見えたあと、心理面のケアと同時に身体面のコンディショニングを組み合わせる。これが、限られた予算で成果を出したい中小企業にとって現実的なアプローチだと考えています。

まとめ

  • 2028年4月1日から、50人未満の事業場もストレスチェックが義務化される
  • 50人未満の実施率は32.3%。多くの企業がゼロから体制をつくる必要がある
  • 実施者の確保・結果の取り扱いルール・改善の受け皿、この3つを先に決めておく
  • メンタル対策は身体のコンディションとセットで考えると成果が出やすい

株式会社ナイスハビットでは、宮城県内の中小企業さま向けに、身体機能の測定と運動指導を軸にした健康経営支援「フィジカルポテンシャルプログラム(PPP)」をご提供しています。ストレスチェックの義務化に向けた職場改善の一環として、お気軽にご相談ください。


参考:厚生労働省「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(2025年5月14日公布)/労働政策審議会 安全衛生分科会(2026年5月18日)資料/厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」

ご注意:本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。制度の詳細や施行内容は今後変更される可能性があります。自社の対応方針を決める際は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。当社は社会保険労務士事務所ではありません。